【ゲームコラム】Steamはゲームを販売していない

題名を読んで反射的に反論したくなった人はいるだろう。だが、落ち着いてよく聞いて欲しい。オンライン配信サービスのSteamは「ゲームを一時的に利用できる権利(利用権)をあなたに販売している」だけであって、ゲームそのものを販売しているわけではない。

Steam利用規約より

・Steamでゲームを利用する権利を買う

あなたはSteamで面白そうなゲームがリリースされているのを発見する。そのゲームをカートに入れ、クレジットカードで決済を済ませるとライブラリにゲームが追加される。そして、そのゲームをダウンロードし、インストールして遊ぶ。

もし、別のパソコンでそのゲームを遊びたい場合、そのパソコンにSteamのソフトをインストールし、Steamのアカウント認証を行い、ゲームをインストールすることになる。

ゲームをインストールした後はオフラインモードで遊ぶことも可能だ。だが、パソコンや環境を変える度にアカウントの認証作業は必須になる。この仕組みをDRM(デジタル著作権管理)と呼ぶ。

なぜDRMが必要なのかというと、ゲーム・音楽・動画・電子書籍などのデジタルデータは複製が簡単にできてしまうためだ。そのため、デジタルデータの使用時に通信や認証を行うことで不正に利用されないようにしている。

DRMが存在する限り、あなたが購入したと思っているゲームはあなたの所有物ではない。Steamがなんらかの理由によって、そのゲームの配信を停止した場合、あなたはそのゲームを遊べなくなるのだ。

Valve(Steamの運営元)がSteamのサービスを停止しなければならなくなった、という事態を想像してみてほしい。それまでに支払ったお金、あなたのライブラリにあるゲームはどうなるのか、を。

もし、 ValveがSteamのサービスを停止するに当たってユーザーの返金に応じるという話になったとしても、あなたがもう一度遊びたいゲームがあった場合は他のプラットホームで買い直さなければならない。Steamでしか取り扱っていなかったゲームは二度と遊べなくなる可能性もあるのだ。

Steamの利用権ライブラリ。

・DRMフリーでゲームを販売するGOG.com

一方、GOG.comではDRMフリーを謳い、サービスを行っている。GOG.comでゲームを購入するとゲームのデータをダウンロードできるようになる。そのデータをUSBなどの記憶媒体にコピーして、別のパソコンにインストールすることも可能だ。他のサービスのような認証作業は要求されない。

もし、GOG.comがサービスを停止することになったとしても、あなたはサービスが停止するまでにゲームのバックアップを取っておけば遊べなくなることはない。

GOG.comのThe Witcher 3。ゲームを購入したユーザーはゲームデータのバックアップを残すことができる。

・あなたはゲームを所有していない

以前、Tritonというゲーム配信サービスが存在したが2006年にサービスを停止している。Impulseというサービスも2014年に停止されたがGameStop.comに引き継がれた。

いずれにせよ、ゲームのダウンロード販売サービスは運営元の事情でゲームが遊べなくなる可能性がある。DRM付きのゲームはあなたの所有物ではない、ということを頭に入れてサービスを利用した方がいいだろう。

DRMフリーを啓蒙するFCKDRM。ゲーム分野ではGOG.com、itch.ioが参加